スキエンティア

エピローグ ワンダフル・ライフ

作者:饗庭璃奈子(あいばりなこ)
比率:♂2♀2
時間:未計測

女神は微笑む。三つの掟を守りさえすれば。
誰もが強烈な死の体験を抱えるスキマの国、スキエンティア。閉ざされた世界の秘密を解き明かすために足掻き続ける人々は、その先に何を見出すのか。

《これまでのあらすじ》
スキエンティアに落とされた青年・メグミは、〝救世主〟と呼ばれることを重荷に感じながらも、オズ博士と天使憑きの少女・モニと共に暮らしている。世界の変革を目指すProject Oz。ロケットが打ち上げられるその日が、ついに訪れる。

※Skype上での声劇・ニコニコ生放送などで、ご自由にお使い下さい。
※企画などでご使用になる場合は、まずはご連絡下さい。

メグミ・モリモト(森元 恵) 22歳の日本人で、元・軍人。生真面目。ニールセンの古道具屋で働きながら、オズにお弁当を運ぶのが仕事。〝救世主〟と呼ばれる。絵に描いたような好青年を装うも、ウロに嫌われていたが、和解した。
モニ(ハルモニ) 白髪に紅い瞳を持つ、純白の少女。推定年齢4〜5歳。感情の起伏に乏しく、一人で過ごすのが上手い。自らの名前すらわからないままスキエンティアに発現し、オズに拾われる。天使憑きだが、自覚はない。
ウロ ストレートの黒髪を持つ、冷めた印象の女性。メグミと同じくらいの年頃。Project Ozの研究者の一人。オズとモニにだけ心を開いていたが、メグミとも親しくなった。過去の記憶がなく、右目が見えていない。
オズ・ナツオ(小津 夏生) Project Ozの第一人者で、物腰の穏やかな老人。美しい白髪と優しい銀色の瞳を持ち、常に白衣を身に纏っている。周りからは博士と呼ばれる。見た目通りに優しく聡明だが、妙なところで無精で抜けている。
No.517 モニに憑いている天使。人格は少年。モニと肉体を共有しており、失敗作として廃棄される。517番目の天使になるはずだった。人間のことを虫けらだ、害悪だと見下すが、モニのことは愛しているらしい。
名前だけ登場する人物
イアン・ワーズワース 10代後半の元気いっぱいの少年。スラム街出身、飢饉でスキエンティアへ。ニールセンと暮らしており、メグミの死んだ親友・會田涼太によく似ている。女神様のお迎えにより、スキエンティアから消えた。
フレデリック・ニールセン 53歳。いつもパイプをふかしている、古道具屋の店主。灰色の髭を口元と顎にたっぷりと蓄えている。頑固者で言動が荒く、外見もいかついが、イアンのことは実の息子のように可愛がっていた。
會田 涼太(あいだりょうた) メグミの元いた世界の人物で、今は亡き親友。メグミと戦場を共にする軍人だったが、その目の前で敵兵に惨殺された。

《水車小屋にて》

メグミ(M)

常よりも遅い目覚めであることにはすぐに気がついた。
時計を見る。午前八時十二分。大寝坊だ。
博士は毎朝午前六時にはベッドから抜け出す。その物音で僕も目を覚まし、彼に一杯の珈琲を淹れたのち、朝食の支度に取り掛かる。今日はロケットの打ち上げがあるから、いつもより早く家を出たのだろうか。僕やモニに、気を遣ったのかもしれない。
不思議に思いながら、居間に顔を出す。

モニ

……ひっく……う……!(泣いている)

メグミ

モニ……?泣いているんですか?

モニ

……!メグミ……?

メグミ

酷い顔じゃないですか。一体、どうしたんです?

モニ

メグミ、メグミ……!(メグミに縋り付く)

メグミ

うわっ……と。落ち着いて下さい。ほら、涙を拭いて……怖い夢でも見たんですか?

モニ

ナツオ、いなくなっちゃった……!

メグミ

え……?

モニ

起きたら、もういなかったの。シーツ、つめたかった。
女神様が、ナツオをつれていっちゃった……!

メグミ

!、……モニ。そんなこと、あるわけないでしょう。今日はロケットが打ち上げられる、大事な日なんですよ。博士なら、例え女神様のお迎えが来ても、今日だけは踏ん張ってでも留まるはずです。きっといつもより早く、研究所に向かったんですよ。

モニ

でも、でも……!

メグミ

……わかりました。それじゃあ一緒に、研究所まで行って確かめてみましょう。
でも、その前に朝ごはんが先ですよ。

モニ

……うん。

メグミ

簡単なもので済ませてしまいましょうか。モニは座って待っていてくれますね。

モニ

……わかった。

メグミ(M)

モニを宥めるその言葉は、本当は全部、自分に向けたものだったのかもしれない。そう言い聞かせることで、必死に自分を安心させようとしていたのかもしれない。フライパンにベーコンを二枚ずつ、それから卵を二つ落とす。油のはぜる音がする。胸の内に落ちた暗澹たる影は、晴れる気配がない。午前九時。研究所に向けて水車小屋をあとにする。

***

《研究所にて》

メグミ

うわあ……さすがに打ち上げの直前ともなると、皆さん忙しそうですね。
誰か手の空いていそうな人は——、

ウロ

メグミ!モニ!

メグミ

!、ウロ!

モニ

ウロっ……!

ウロ

よかった、来てくれたんですね……!あっ!(足をもつれさせる)

メグミ

うわっ、ちょっと……!ここは足場が悪いんですから、気をつけて下さいよ。

ウロ

あなた、携帯持ってないんですもの……!
連絡を取ろうにも取れないし、かといってこの忙しい中、私だけ抜け出してソトバの水車小屋を見に行くわけにもいきませんし……!

メグミ

す、すみません。あの、博士は……、

ウロ

朝から姿が見えないんです。電話も通じません。その様子だと、そちらにもいらっしゃらないんですね。

メグミ

──はい。僕が目覚めた時には既にいなくなっていて……モニが、泣いていて。

ウロ

メグミ。博士を探して下さい。

メグミ

え、

ウロ

昨日、博士は私に言いました。例え何が起こっても、Project Ozプロジェクト・オズだけは遂行するようにと。それが博士の、願いであると。

メグミ

例え、何が起こっても……?

ウロ

ここは私が仕切ります。博士がお戻りになられなくても、Project Ozは必ず成功します。博士の願いは、私が遂げますから。

メグミ

ウロ……。

ウロ

お願いです、メグミ……博士を、見つけて。

メグミ

ウロ

見つけて、連れ戻して下さい。馬鹿なんです、あの人は……何のために私たちが、今日まで励んできたと思ってるんですか。Project Ozの、成功のためじゃないですか。あの人の、ためじゃないですか……!みんなあの人を慕って、全部、ぜんぶ……!(頬を涙が伝う)

メグミ

……わかりました、ウロ。僕は博士を探します。ウロは研究所に残って、Project Ozを成功させて下さい。どうか、お願いします。

ウロ

!、……はい。

メグミ

ロケットの打ち上げまで、もうあまり時間もない。僕とモニは、行きますね。

ウロ

お気をつけて。

メグミ

ええ、ウロも。

モニ

ウロ、がんばって。モニも、がんばるから。メグミと、いっしょだから。

ウロ

ありがとう、モニ。博士を、お願いね。

***

《コグレ地区にて》

八百屋

へい、らっしゃいらっしゃーい!新鮮な野菜、いかがっすかー!

メグミ

情報屋さん!

八百屋

だからそっちは本業じゃねえっつの。なんだい、いやに急いでるじゃねえか。血相変えてどうしたんだい、救世主様?

メグミ

博士を!オズ博士を、見かけませんでしたか!?

八百屋

博士?いや、今日は見てねえなあ。これからロケットの打ち上げだろ?エメラルド・シティの研究所じゃねえのか?

メグミ

それがどこにも見当たらないんです。僕が起きた時にはもう、ソトバの家にもいなくって……。何か、ご存じないですか?

八百屋

そう言われてもなあ……。

メグミ

どんな些細なことでもいいんです。何か、普段と違うことがあったとか……!

八百屋

あ、そういえば。御使みつかいの光を見たって婆さんなら、今朝方来たなあ。ほら、女神様がスキエンティアに降り立つ時に見えるって言われてる、あの——、

メグミ

そのお婆さん、今どこにいらっしゃいますか!?

八百屋

うお!やけに食いつくなあ?メロウ地区に住んでるが……ここに来た時から半分ボケてるような耄碌ババアだぜ?話もろくに通じねえし、御使いの光を見たってのも当てになるかどうか……。そもそもあの博士は、こんな大層な日に女神様に連れてかれるようなたまじゃねえだろ。……っておい!

メグミ

ありがとうございます、行ってみます!

八百屋

……っ、西の方角だ!あの辺りでもひときわ目立つおんぼろ小屋だから、行けばすぐにわかると思うぜ!湿地に足を取られないように気をつけてなー!

メグミ

わかりました!ああもう、時間がない……!モニ、抱えますよ!

モニ

ひゃあっ!?

メグミ

メロウ地区まで、このまま走ります!

メグミ(M)

僕の中で、いくつかの点が、線となって結びつきつつあった。
近頃やけに、忙しそうにしていた博士。忽然と姿を消した。昨日ウロに残したという含みのある言葉——〝例え何が起こっても、Project Ozだけは遂行するように〟。そして、御使いの光の目撃情報。何よりも天使憑きのモニの存在、すなわち女神様との繋がりだ。
もしかすると、本当にもしかするとだけど、博士は自分にお迎えが訪れる日を、あらかじめ知っていたのではないだろうか。
だからProject Ozの実行を、今日この日に決めたのではないだろうか。

オズ

〝言うなれば私は、スキエンティアの持ち得る可能性を引き出す、偉大なる魔法使いといったところさ〟

メグミ(M)

人を驚かせるのが好きな人だった。悪い予感がする——。

***

《メロウ地区にて》

メグミ

(息を切らしながら)着いた……。西っていうと、おそらくこの辺りですよね。モニ、下ろしますよ。足元がぬかるんでいますから、注意して下さい。

モニ

うん。

メグミ

ここが、メロウ地区……霧がかった灰色の湿地帯、ですか。随分と、薄暗い……モノクロの世界。そういえば、この地区に来るのは初めてですね。……ん、モニ?

モニ

……モニ、メロウはこわい。

メグミ

そうですね……僕もこの場所には、あまり長居はしたくありません。
……ん?人影?こっちに、近づいてくる……?

モニ

……!

◆霧の中から醜い老婆が現れる。

老婆

お待ちしておりましたよ。

メグミ

あなたは……?あ……もしかしてあなたが、御使いの光を見たという方ですか?

老婆

どうぞ、こちらへ。

メグミ

……。ついて行ってみましょう。

モニ

……うん。

◆老婆、無言で湿地帯を進んでいく。

メグミ

あの……お婆さんが御使いの光を見たっていうのは、何時頃?
どの辺りだったかとか、わかりますか?

老婆

はて……あれはソトバの辺りでしたかのう。時間に関しましては、さっぱり。ここには昼も夜も、あってないようなものですから。

メグミ

はあ……。

老婆

時に、メロウにいらっしゃるのは初めてですね。

メグミ

ええ、まあ。

老婆

この地を、どう思われますか?

メグミ

えっ、あ……少し、怖いな、と。
お住まいのところをこんなふうに言われて、あまりいい気はしませんよね。すみません。

老婆

何、構いやしません。正直なのは決して悪いことではない。それに、闇を恐れてこの地に足を踏み入れぬ者も多いのです。しかし、その恐怖を越えなければ、見ることのできぬ景色もある。……ほら、着きましたよ。

メグミ

ここは……?

老婆

〝真実の湖〟——スキエンティアの定められた道筋を渡らなければ、辿り着くことのできない場所です。

メグミ

清浄な、空気……霧で先は見えないが、水は澄みきっている。鏡のような湖面ですね。……あれ?これってもしかして、ソトバの小川と同じ……?

老婆

よくお気づきになられましたね。そう。この地の水は、ソトバの森を経てあちらの岸まで流れつく。この世界の人々をとこしえに潤し続ける、恵みの水です。もっとも、この事実を知る者は少ない。さあ、私が案内できるのはここまでです。先へお進みなさい。

メグミ

先へって……この湖を、渡れというのですか?

老婆

己を信じて、一歩を踏み出す。さすれば恵みの水が、真実の至る場所へと導いてくれる。いいですか、目に見えるものだけに、惑わされてはいけませんよ。

メグミ

そんな、一体どうしろと……、!
お婆さん?消えた……?

モニ

メグミ、どうするの……?

メグミ

……行きましょう。ここまで来たら、もう後戻りはできません。さあ、しっかり手を繋いで。モニ、覚悟はいいですか?

モニ

……うん。

メグミ

それじゃあ行きますよ。……己を、信じて。せーのっ!

◆ホワイトアウト。白の世界に、メグミ一人。静かな湖面だけが広がっている。

メグミ

あれ、モニ?いない……?確かに手を繋いでいたはずなのに、一体どこに……。……え?僕、湖の上に立ってる?
……どうやら、ここを行けということみたいですね。辺り一面白い霧で、何も見えない。とにかく、モニを探さなくては……!おーいモニ!モニーッ!モニ、……え、

◆メグミの行く手に、涼太が立っている。

メグミ

あ、涼太りょうた……?お前、イアンじゃない……涼太、だよな?やっぱりお前、スキエンティアに落とされて……っ!
……こんなところに隠れていたのか。見つけられるわけないじゃないか……!どうして今まで姿を見せてくれなかったんだ?僕の名前、スキエンティア中に広まっていたはずだろう?
〝スキエンティアの変化の兆し〟
〝スキエンティアに新たな恵みをもたらす救世主〟
〝その名もメグミ・モリモト!〟
って……ははっ、馬鹿みたいだよな。
……え?

◆涼太の姿、いつの間にかイアンに変わっている。

メグミ

その肌の色……やっぱりイアン、なのか?でもイアンは、女神様のお迎えに導かれたはずで、ニールセンさんだってあんなに悲しんで……!……いや、違う。そうか。そういうことか。これは僕が、失った人たちの記憶なんだ。なあ、そうなんだろう、イアン?

◆イアンが消え、オズが現れる。

メグミ

ああ、博士……!やっぱりあなたも、女神様に連れていかれてしまったんですね。
……どうしてくれるんですか。ウロに、なんて言い訳したらいいんですか。ねえ、何とか言って下さいよ、博士……っ!

◆オズ、無言で微笑んでいる。

メグミ

……失われた人に、言葉はないってことですか。……馬鹿ですよ、あんたは。呆れた大馬鹿者だ。どうしてこんな大事な日に、逝ってしまったんですか。こんな驚かせ方をして、誰か喜ぶとでも思ったんですか!そんなこと、あるわけないでしょう……!みんなあなたが好きだから、あなたのために、頑張ってきたんですよ。それなのに……、っ!

◆オズの姿があったはずの場所に、モニが立っている。

メグミ

え、嘘だろ……モニ?あなたも、僕の前からいなくなってしまうっていうんですか?やめて下さいよ……!これ以上、僕を一人にしないで下さいよ!ねえ!

◆モニ、微笑んでいる。

メグミ

いや、あなた……モニじゃないな。天使のほうか。やっぱりお前、消えかけの残り滓みたいな力を振り絞って、僕に会いに来てくれたんだな。

◆モニ、微笑んでいる。

メグミ

……なあ。お前は博士が逝ってしまうことを、知っていたのか?

◆モニ、微笑んでいる。

メグミ

なあ、答えろよ……何とか言えよ……なあ!

◆モニ、微笑んでいる。

メグミ

知っていたならどうして、こんな馬鹿げたこと、やめさせてくれなかったんだ。わかってたんだろう?知ってたんだろう?Project Ozの本当の意味も、結末も、全部。こんなの、あんまりじゃあ、ないか……!……博士を返せよ。返してくれよ。女神様がお創りになった、天使なんだろう?そのくらい、朝飯前だよなあ?……返せ……。畜生ッ……返せぇぇえっ!!!博士……っ、博士を!!!!(モニの肩に掴みかかる)

モニ

メグミ……!?

◆世界、反転。

メグミ

あれ……モニ?

モニ

メグミ、どうしたの?すっごく、さけんでた。
天使って、なんのこと?ナツオは……?

メグミ

そうか……僕は、還ってきたのか。小川と、向日葵ひまわり畑……ここは、ソトバか。結局僕は、ここに行き着くのか。

モニ

メグミ……?

メグミ

……いえ、すみません。ちょっと、夢を見ていたみたいです。たくさん歩いて、疲れたでしょう。肩車してあげますよ。ほらっ!

モニ

わっ!

メグミ

落ちないように、ちゃんと捕まっていて下さいよ。

モニ

わあ……!すっごく、高い!

メグミ

こうして見渡す向日葵畑も、悪くないでしょう?それに放っておいたら、悪戯な向日葵たちにうずもれて、またモニを見失ってしまいそうですから。
……いつ見ても、この景色には圧倒されますね。どこまでも延々と続いているかのようで、まるで世界の果てに来てしまったみたいで——、!

◆轟音が響く。

モニ

あ、ロケット!とんでく……!

メグミ

……!

メグミ(M)

天高く、真っ直ぐに、ロケットが昇っていく。博士の消えた世界で、博士の願いが成就する。女神様のお迎えに導かれた人は、果たして次はどこへ、向かうのだろうか。青空に吸い込まれるようにして、次第にその輪郭は遠ざかる。博士の面影を乗せたロケットが、閉ざされた世界の外へと旅立っていく。僕たちは茫洋と広がる向日葵畑の中に立ち尽くし、ロケットが点となって見えなくなってもなお、いつまでも、その姿を仰ぎ、見送っていた——。

***

《水車小屋にて。オズと天使の記憶》

オズ

なあ、ハルモニよ。

No.517

何ですか?

オズ

折り入って、君に頼みたいことがあるんだが。
ちょっと、訊きたいことがあってね。

No.517

この世界の秘密を教えろ、とかなら、お断りですよ。
女神様のお迎えに導かれたのち、人々が果たしてどんな道筋を辿るのか、それはあなた自身が身をもって確かめるべきことです。

オズ

いや、そうじゃなくってね。

No.517

……?

オズ

私にお迎えが訪れる日を、教えてはくれないだろうか。

No.517

!、……そんなことを知って、どうするというんです。

オズ

その言い方だと、やはり君は私の問いに対する答えを持っているということになるのかな。

No.517

汚いですよ、あなた。

オズ

細かいことはいいじゃあないか。

No.517

まあいいでしょう。あなたには恩義がありますから、教えて差し上げます。言っておきますが、これは特例中の特例です。決して他の方には口外しないように。

オズ

天使というのも案外義理堅いものなんだね。

No.517

ただし一つ、条件がある。

オズ

ほう、条件か。面白い。言ってみたまえ。

No.517

どうしてあなたがその問いの答えを求めるのか、理由を教えていただきたい。

オズ

何、簡単なことだ。覚悟を決めて死んだつもりが、せっかくこうして何かの弾みで取り残されてしまったんだ。ここはひとつ大きなことを、成し遂げてやりたくてね。そのために、綿密に計画を練り上げておくことは大事だろう?私なりのワンダフル・ライフ、というわけさ。

No.517

あなた、やっぱり変わってます。

オズ

だが、悪くない話だと思わんかね?

No.517

……そうですね。面白そうです。あなたのワンダフル・ライフ、ボクもお手伝いすることにしましょう。オズ・ナツオ。あなたにお迎えが訪れる日は──。

THE END.