緋色の徒花

企画:Familiar Company
作者:饗庭璃奈子(あいばりなこ)
比率:♂2♀2不問1
時間:約45分


ペローの童話〝赤ずきん〟の和風オマージュ。
人喰いオオカミと村人の子供たちの、復讐と運命の物語。
回る、回る、歯車は回る。その根を醜く腐食させ、ぐずぐずと花弁を散らすその時に向かって、まるで転がり落ちるように。

舞台は奈良県五條市大塔町の最東端、十津川支流の舟ノ川流域に点在する集落の中でも最奥に位置する、篠原地区という場所がモデルです。


※Skype上での声劇・ニコニコ生放送などで、ご自由にお使い下さい。企画(ボイスドラマ)用書き下ろし台本のため、作品として公開することはお断りいたします。

狩人 シノとフユの父親を撃ち殺した張本人。実は彼自身も既に死んでおり、作中に登場する狩人は亡霊である。物語の中枢的な役割を担う。
村人(元村長の子供で、現村長の甥と姪にあたる。幼い頃、両親をオオカミに喰い殺されている)
コン 穏やかで誠実な兄。歳は21歳。杓子や椀を作る木地師(きじし)の仕事をしている。妄執に陥っていくアキを心配している。
アキ 勝ち気で正義感の強い妹。歳は14歳。村を守るべく、自らも狩人を目指す。あまりに強い妄執故に、泣くことすら忘れてしまった。
人喰いオオカミ(ニホンオオカミの最後の生き残り。父親と仲間を人間に撃ち殺されている)
シノ 人に化けている。おっとりとした姉。歳は17歳。父親の死は自然の摂理と割り切っている。フユに依存的。
フユ 人に化けている。しっかり者だが過激な考えを持つ弟。歳は12歳。人間を憎み、復讐をするべく人里へ向かう。
狩人

徒花あだばなは決して実を結ばない。その根を醜く腐食させ、周囲の土を毒で冒し、ただただ失っていくばかりだ。ぐずぐずと、儚く美しくその花弁を散らして。
これはそんな、運命という名の、かくも美しきからくり仕掛けの物語──。

***

シノ

ねえ、本当に行くの〜……?

フユ

当たり前だ!

シノ

お姉ちゃん、いやだよ?
こわぁい人間さまに捕まって、フユが撃ち殺されたりなんかしたら。

フユ

そんなんだからシノ姉ちゃんは臆病者だっていうんだ!

シノ

だってぇ〜……。

フユ

大丈夫だ。この姿になってりゃ、ばれやしない。
今の俺たちは傍目には人間にしか見えやしないさ。
にっくき、人間にしかな。

シノ

フユ……。

フユ

なあ、姉ちゃん。俺はあいつらを許さないよ。
俺たちの仲間を、親父を奪った、人間たちを。

***

《Part.1 アキ》

◆猟銃の音が響き渡る。

アキ

やった!
コン兄ちゃーん!取ったよー!

◆コン、眠たげに目をこすりながら起き出してくる。

コン

なんだアキ、また山に行ってたのか?

アキ

うん!ほら、見て見て!

コン

へえ、今日はヤマドリを取ったのか。
大したもんじゃないか。

アキ

へへーん、まあねー。
さあさ、あたしがサクッと捌いちゃうから、兄ちゃんは朝餉の支度してて!

コン

はいはい。

アキ(M)

あたしたちの朝は、一杯の味噌汁と僅かばかり炊いた米ではじまる。
父さんと母さんはいない。あたしたちがまだ幼い頃に、二人とも死んだ。だからあたしの家族はコン兄ちゃんだけだ。
でも、生活にはそんなに不自由したことはない。
コン兄ちゃんは杓子や椀を作る木地師きじしの仕事をしているし、あたしが捕った獲物をお裾分けすると、みんなとっても喜んで、米や野菜や魚をくれる。あたしはコン兄ちゃんと違ってまだ子供だけど、村にあたし程の腕利きの猟師はいないのだ。
だからあたしたちは、両親がいない子供としては、充足した暮らしを送ってきたと言えた。コン兄ちゃんはあたしのことをとても大事にしてくれたし、あたしもコン兄ちゃんが大好きだった。二人きりの家族だけれど、あたしたちは幸せだった。

コン

それじゃ、

コン・アキ

(手を合わせる)いっただっきまーす!

アキ

んー!やっぱりコン兄ちゃんのお味噌汁は最高!

コン

このヤマドリの刺身もなかなかいけるよ。酒が欲しくなる。

アキ

もう、朝っぱらからお酒?

コン

いいじゃないか。今日は年に一度の祭りなんだから。

アキ

氏神さまに村の息災の感謝を捧げるお祭りね。

コン

ああ、そうだ。
〝今年はシシも出ず、猿も出ず、切畑キリハタも豊作で、氏神さまに何か踊りを献じましょう……〟

アキ

ふふっ、毎年恒例の口上ね。
叔父さまがおっしゃっていたわ。今年の作物は特別いい出来だったって。

コン

氏神さまと、村のみんなのおかげだな。

アキ

ええ、そうね。
……本当においしい。
コン兄ちゃんのお味噌汁は、母さんの味だね。

コン

……。

アキ

あれからもう、六年も経つのね。
父さんと母さんが、オオカミに喰い殺されてから。

コン

……ああ。

アキ

ねえ、コン兄ちゃん。あたしやっぱりオオカミを許すことができないわ。

コン

アキ……。オオカミはもう死んだんだ。狩人さまがみぃんなやっつけて下すったんだよ。だから、俺たちはもうなんにも怯える必要なんてないんだ。

アキ

本当にそう言いきれる?
オオカミは人間を恨んで、今はひっそりと息を潜めているだけかもしれない。
そうしていつか再び村の人間を襲うために、力を蓄えているのかも。
熊だって出ないとは限らないじゃない。

コン

考え過ぎだよ。

アキ

とにかく(立ち上がる)あんな惨劇はもうたくさん。だからあたしがこの村を守るの。絶対、一人前の狩人になってみせるわ。一人でも戦えるように。

コン

……。

アキ

ご馳走さま。ごはん、おいしかったわ。
コン兄ちゃん、祭りの手伝いがあるんでしょう?
いってらっしゃい。

コン

アキは?まだ行かないのか?

アキ

あたしは祭りがはじまるまで、銃の練習をしているわ。
もっと腕を磨かなくっちゃ。
よおし、がんばるぞー!

コン

ははは……アキはもうすっかり、一人前の狩人だよ。

***

《Part.2 フユ》

フユ(M)

俺は人間が嫌いだ。憎んでいると言ってもいい。
何故なら人間は父さんや、俺たちの大事な仲間を奪ったから。
だから今日、俺は人間たちに復讐をする。
そう、今日この日のために、俺は生きてきたのだ。人間たちに復讐を果たすことさえ叶えば、俺はたとえ命を落とすことになっても構わない。
もちろん、命と引き換えにしてもいいだなんて、そんなこと、シノ姉ちゃんには内緒だ。姉ちゃんに話したら、きっと力づくでも人里に下りることを止められていたに違いない。
本当は今日だって、俺はシノ姉ちゃんについてきてほしくなんかなかった。
憎悪に支配された醜い俺の姿を、最後の最後にたった一人の大事な家族に、見られたくなんかなかった——。

シノ

フユ、待ってよーう!

フユ

おっせえぞ、姉ちゃん!

シノ

だってぇ〜……人間の体って、慣れないんだもの。フユが速すぎるんだよお。
人間ってよくもまあ、こんな不自然な歩き方をするものね。

フユ

姉ちゃんが遅過ぎるんだ!ったく、だからついてくんなって言ったのに……。
ふう、だいぶ人里が近づいてきたな。

◆アキの猟銃の音が聞こえてくる。

シノ

ね、ねえ。何か聞こえない?

フユ

シッ!

シノ

きゃ!?

フユ

姉ちゃん、頭伏せろ、頭!

シノ

もう伏せさせられてますぅ〜……。

フユ

あ……ああ、悪い。それより見てみろ、あれ。

シノ

何?あ……、

◆アキが猟銃を撃っている姿が遠目に見える。

フユ

あの木に描いた円を的にして撃ってるんだ。ぜんぶ命中してる。
それに、あれは人間が狩猟用に使う銃だよ。

シノ

女の子よ?それに、歳もフユとそう変わらないように見えるけど……。

フユ

でも、腕は確かなようだ。きっと村の狩人なんだろ。

シノ

フユ……お姉ちゃん、怖いよ。

フユ

大丈夫だ。何かあっても、絶対俺がシノ姉ちゃんを守ってやるから。
別の道を行こう。

シノ

……そうね。

フユ

銃、か。いやなもん見ちまったな。

シノ

……。

***

《Part.3 コン》

◆神社の境内で祭りがはじまっている。

コン

アキ!

アキ

あ、コン兄ちゃん。

コン

悪い、待たせたな。

アキ

ううん、平気。手伝い、終わったのね。お疲れさま。

コン

ああ。じゃあ、早速屋台を見て回ろうか。

アキ

うん!あたし、金魚すくいやりたい!

コン(M)

そう言ってはしゃぐアキは、まだほんの年相応の子供だ。
村一番の狩人にはとても見えない。

アキ

あ、あったよ、金魚すくい!

コン

にぎわってるな。

アキ

あたし、やってくる。コン兄ちゃん、ここで待ってて!

コン

ああ、ゆっくり楽しんでこい。

アキ

おじさん、あみ一枚、くださーい!

◆コン、金魚すくいに興じるアキを、しばしぼんやりと眺める。
 人混みに疲れて、少し息をつく。

コン(M)

毎年、祭りの時期が来るたびに、あの日のことを思い出す。
父さんと母さんがオオカミに喰い殺された日。
あの日から、アキは変わった。何かに取り憑かれたかのように、銃を撃ち続けた。
あの日を最後に、アキが泣くのを、俺は一度も見たことがない。
あの強がりな、小さな背中を見ていると、何故だか俺は酷く不安に駆られるのだ。
まるで妄執という名の呪いにアキを連れて行かれてしまうような、そんな悪夢のような錯覚が、いつだって、俺を捕らえて離さない。 そう、あの日から、ずっと——。

狩人

ねえ、今日は運命の日だよ。

コン

……え?

狩人

歯車は既に動き出している。すべては運命という名の呪いによって、ね。

コン

……はい?

狩人

つまりね、きみたちはもう一度出会うんだ。はじまりの場所で、すべてを終わらせるために。きみたちはもう一度、出会わなくてはならない。

コン

あの、どちらさまでしょうか。

狩人

なに、すぐにわかるさ。……ックク。

◆狩人、人混みの中に消える。

コン

あ、行っちゃった……なんだったんだ?いまの。へんな人だな、いやな感じだ。
アキ、そろそろ行くぞ。……あれ、アキ?

***

《Part.4 シノ》

シノ

にぎやかね。

フユ

みんな浮かれてるな。
人間は本当に祭り事ってやつが好きみたいだ。
今日という日を選んでよかった。
これは絶好の機会かもしれない。

シノ

気をつけるのよ、フユ。
さっきの女の子みたいに銃を持ってる人間が、他にもいないとは限らないわ。

フユ

わかってるよ。細心の注意を払って、計画を遂行する。

シノ

……本当に、気をつけてね。

シノ(M)

私は人間があまり好きじゃない。
だって人間は父さんや、私たちの大事な仲間を奪ったから。
だけど、復讐しようとかどうとか考えたことはない。だってあれは、ごく当たり前の自然の摂理だったと思うから。
私たちは生きるために人里を襲い、人間もまた危機から逃れるために私たちを退治する。あんなことが起こったのだって、だから当然といえば当然の結果だったのだ。本当はフユにだって、私はこんなことをしてほしくなんかなかった。
フユが人間を襲えば、人間はまた私たちを恨むだろう。そうしたら今度は、フユは、私たちは、どうなってしまうのだろうか。
フユを失ったら今度こそ、私は本当に壊れてしまいそうな気がする——。

フユ

──いい匂いが、する……。

シノ

……え?

フユ

あっちの方からだ。あの屋台から、いい匂いが……。

シノ

え、ちょっと、フユ!?

狩人

いらっしゃい。

フユ

なあ、これはなんて食い物なんだ?

狩人

やきとりだよ。おひとついかが。

フユ

……だめだ。金を持ってない。

狩人

要らないよ。きみには特別に、タダでひとつあげよう。

フユ

本当に?

狩人

もちろんだとも。だって今日は運命の日だからね。

フユ

……は?

狩人

錆びつき腐食しかけていた歯車を、きみはいまひとたび回してくれた。だからね、僕は今、とってもとってもきみに感謝しているんだよ。

フユ

……どういうことだ。

狩人

そう毛を逆立てるものじゃないよ……ックク。

フユ

!!

シノ

フユ、フユ、こっちへおいで。

フユ

……。

シノ

もう、だめじゃない、うかつに人間に近づいたりなんかしたら。
……それ、もらったの?よかったわね。

フユ

今のは——人間、だったのか?

シノ

? どうしたの、フユ?

フユ

……いや、何でもない。もう少しここいらを見て回ろう。
万が一、武器を持っている人間がいると、いろいろと厄介だからな。
まずはそういう奴らからうまいこと始末して──、

シノ

フ、フユ。

フユ

ん?どうした?

シノ

あの──あ、あ、あの子……!

フユ

アキ

いやあ、参ったなあ……ちょっとはしゃぎ過ぎちゃったわ。
コン兄ちゃん、どこ行っちゃったのかしら。いや、たぶん迷子はあたしなんだけど、この人混みの中を探すのはちょっと大変ね……。

フユ

げ!あの女は、さっきの……!

シノ

銃もばっちり背中にしょいこんでるよお!

フユ

騒ぐな姉ちゃん!幸い相手はまだこっちに気がついていない。
見つからないようにそーっと……、

アキ

……あれ?あんたたちどこの子?見かけない顔ね。

シノ・フユ(M)

見つかったー!!!

アキ

ねえ、どこから来たの?

シノ

フユ、どうしよう、どうしよう、どうしよう〜〜〜!

フユ

大丈夫だ、シノ姉ちゃん!
よくよく考えりゃ今の俺たちは人間なんだ!
それより慌てちまってうっかり耳や尻尾を出しちまうことの方が大問題だ!
ここは一旦落ち着こう!

シノ

そうね、おおお落ち着きましょう!すうううーはあああー!

アキ

ちょっと、何こそこそやってんのよ?

シノ

ななな、何でもないですうー!

フユ

今日は祭りがあるってんで、俺たち隣村から見物に来たんだ!な、シノ?

シノ

そうね、フユ!

アキ

ふーん?

シノ(M)

な、なんかすっごく怪しまれてるよーう!

フユ(M)

耐えろ姉ちゃん、ばれるわきゃねえんだ、ばれるわきゃ……!

アキ

なんかものすごーく怪しいけど、まあいいわ。
あたし、面白いの好きだし?

シノ・フユ

はあ〜〜〜……。

アキ

それより、ねえ、一緒に屋台を見て回らない?
あたしたちたぶん歳も同じくらいだし、きっと楽しいわ。
あたしも兄ちゃんと一緒だったんだけど、ついさっきはぐれちゃったのよね。
屋台を見て回りながら探さないと……。

シノ

ど、どうする?フユ。

フユ

そうだな……。下手に断って、余計に怪しまれても事だ。
ひとまず穏便に話を進めてみよう。

シノ

わかったわ。

フユ

あー、えっと……いいぜ。
あんたの兄貴が見つかるまで、一緒に回ってやるよ。

アキ

ほんと?嬉しいわ、ありがとう。
あたしはアキ!あんたたち、名前は?

フユ

俺はフユ。

シノ

シノと申します。

アキ

フユにシノね。二人とも、今日はお祭り楽しんでいって。
あたし、次はりんご飴が食べたいわ。

フユ

なんか、おかしなことになっちまったなあ……。

シノ

まあまあ、いいじゃない。
とりあえずこの子、悪い子じゃあなさそうよ。
それにとってもおいしそう。

フユ

人間にいいも悪いもあるか。
……まあいい。考えようによっちゃ、これはこの女を始末するまたとない機会だ。
しばらく一緒に行動してみよう。行くぞ。

シノ

あ、待ってよーう!

***

《Part.X 狩人》

狩人

ねえ、きみはニホンオオカミって知ってる? そう、かつて日本に生息していた、食肉目イヌ科イヌ属に属する哺乳動物だ。今日こんにちでは、既に絶滅したとされているね。

生態は絶滅前の正確な資料がなく、ほとんどわかっていない。わかっていることといえば、薄明薄暮性で、二頭から十頭程度の群れで行動していた、ってことくらいかな。
食べていたのはおもにニホンジカ。だけど人里に出現し、犬や馬を襲うこともあったんだ。日本のオオカミに関する記録を集成した平岩米吉ひらいわよねきちの著作には、オオカミが家屋に侵入して人を襲った記録も多々残されている。遠吠えをする習性があり、近距離なら障子が震えるほどの声だったともいわれているよ。
彼らは岩穴を巣とし、そこで三頭ほどの子を産んだ。自らのテリトリーに入った人間の後ろを監視する習性があったとされ、いわゆる〝送りオオカミ〟の由来となり、またこれが、〝道を守る者〟という亜種名の元ともなったんだね。

ニホンオオカミ絶滅の原因ははっきりしていないけれど、おおむね狂犬病やジステンパーなどの家畜伝染病と人為的な駆除、開発による餌資源えさしげんの減少や生息地の分断などの要因が複合したものであると見られている。
また、奥多摩の武蔵御嶽神社むさしみたけじんじゃや、秩父の三峯神社みつみねじんじゃを中心とする中部・関東山間部などでは、魔除けや憑き物落とし、獣害除けなどの霊験を持つオオカミ信仰が存在するんだ。このオオカミ信仰の加持祈祷にはオオカミの遺骸が用いられていて、江戸時代後期から明治時代初期というのはちょうどオオカミ信仰が流行した時期にあたる。このオオカミ遺骸の需要も、捕殺に拍車をかけた要因のひとつであると考えられているね。
そうして彼らは絶滅してしまった。

だけどさ、もし、彼らにまだ生き残りがいたとしたらどうする?
神の御使みつかいのオオカミが、人間への怨恨を晴らせないまま、今もどこかでひっそりと息を潜めて、時が来るのを待っているんだ。
それってすっごく恐ろしくて、すっごく浪漫的ろうまんてきだと思わない?

両親をオオカミに喰い殺された二人の赤ずきん、父親と仲間を人間に奪われた二頭のオオカミ、そして僕。役者は揃った、時はもうすぐだよ。お使いに行くなら一人で十分、無事に果たせるのはどっちの赤ずきんかな?
え、僕の役割?それはまだ内緒。だけどすぐにわかることさ。
だって今日は、運命の日なんだから。……ックク。

あ、葡萄酒の瓶を割らないように気をつけてね。それに道草はしちゃいけないよ。
たとえどんなにきれいな花が咲いていても——ね。

***

フユ

ふいーっ。食った食った。

シノ

食べ過ぎよ、人様のお金で。ごめんなさいね、アキさん。

アキ

いいのいいの。
それより面白かったわあ。フユったら本当に、なんにも知らないんだもの。何を見ても珍しそうな顔して。あんた本当に人の子なの?

シノ・フユ(M)

ぎくう!!!

アキ

なあんて、冗談だけどね。
フユ、あんたって、へんな子ね。気に入ったわ。

シノ

ふふっ。

フユ

……へんで悪かったな。

アキ

あ、もうすぐ踊りがはじまるみたい。
シノとフユ、見る?

フユ

俺はいい。

シノ

フユがいいなら、私も。

アキ

あたしもたくさん人混みを歩いて、なんだか疲れちゃった。
川辺でひと休みしましょ。

シノ

彼岸花が、きれいですね。 川の水面みなもが夕日できらきらと光って、まるで夢みたい。

アキ

そう?あたし彼岸花ってあんまり好きじゃないわ。
だって血みたいなんだもの。

シノ

……。

アキ

ねえ、このお祭りがどうしてはじまったか、二人は知ってる?

シノ

いえ、知りません。

フユ

俺も、知らねえな。

アキ

そうよね、二人はよその村から来たんだものね。あのね、この村には六年前まで、オオカミが出たんだ。

フユ

!!

シノ

オオカミ……ですか。

アキ

うん。それでね、村の人たちを困らせていたオオカミの中でも、特に大きな一頭のオオカミから受ける被害が深刻だったから、村の大人たちで巨大オオカミを退治に出かけたの。でもね、なかなか探し出すことができずに、とうとうみんな疲れてしまった。
その時、突然その巨大オオカミが現れて、みんなの指揮を取っていた村の長をかみ殺してしまったんだ。それが、あたしの父さん。

シノ

……え、

フユ

……。

アキ

今の村長むらおさは、だから父さんの弟、あたしの叔父に当たる人なの。
その晩はね、大変だったよ。オオカミたちが人里まで下りてきて、民家を次々と襲ったんだ。あたしの家も、三頭のオオカミに襲われた。あたしと兄ちゃんはまだ幼くて、どうすることもできなくて、母さんがあたしたちをかばって、巨大オオカミと、もう二頭のオオカミの前に飛び出した。
母さんはのど笛をかみ裂かれて、真っ赤な血が天井まで飛び散った。母さんの白いほっかむりが血でべったりと濡れて、まるで赤いずきんみたいだったよ。
オオカミたちが母さんの亡骸を喰い荒らしているあいだに、村の大人たちが助けに来てくれて、あたしと兄ちゃんは助かったけど、あたしたちは一晩のうちに父さんと母さん二人ともをオオカミに喰い殺されてしまったんだ。

その翌日、一人の旅の男の人が村を通りかかった。立派な銃を持っていてね、自分は狩人だって言うんだ。それで前の晩の惨劇のことを話したら、早速山へ出かけていった。村の人たちはせめてオオカミ退治がうまくいくようにと、村じゅう総出で氏神さまに祈りを込めた踊りを奉納した。それがこのお祭りのはじまりなんだ。
オオカミ退治は大成功を納めた。狩人さまはオオカミを、みぃんなやっつけて下すったからね。だけど狩人さまは、生きて村には帰ってこなかった。
最後の最後に巨大オオカミと相打ちになって、それで——、

フユ

もうやめろ。

アキ

!!

フユ

もう、やめろ。

シノ

……。

アキ

——ごめんね、そうだよね。
こんなの楽しい楽しいお祭りの日に話すようなことじゃなかったよね。
ごめん……。

◆気まずい沈黙が三人を包む。

コン

おーい!アキー!

アキ

あ、コン兄ちゃん!
いっけない、すっかり探すの忘れてたわ。

コン

探したぞ、こんなところにいたのか。

アキ

ごめん、随分日が傾いちゃったね。

コン

こちらの方たちは?

アキ

さっきそこで知り合ったの。
隣の村からお祭りを見物に来たんですって。
こっちがシノで、そっちがフユ。
こちら、コン兄ちゃん。

シノ

はじめまして。

フユ

……ども。

コン

いやあ、どうもアキがご面倒をおかけしたみたいで。
アキの兄のコンです。どうぞよろしく。

アキ

ちょっとお、どういう意味よ、それ。二人を案内してあげたの、あたしなのよ?

シノ

ええ、アキさんには本当にお世話になってしまって──、

フユ

ああ、そうなんです。アキにはまる一日屋台を案内してもらって、すっごく世話になったんですよ。だから何か、お礼がしたいな。お兄さんも、一緒にどうですか。

シノ

……フユ?

アキ

ほんとに?
じゃあ遠慮なくお礼されちゃおうかしら。

コン

アキ……。

アキ

いいじゃない、せっかくフユがこう言ってくれてるんだから。
お言葉に甘えましょうよ。

コン

(ため息)

フユ

それじゃあ、一緒にこの先の山まで行きませんか。
とっておきの場所があるんですよ。そう、とっておきのね──。

***

狩人(N)

回る、回る、歯車は回る。その根を醜く腐食させ、ぐずぐずと花弁を散らすその時に向かって、まるで転がり落ちるように。

***

アキ

あ、いやだ、雨が降ってきたわ。道がぬかるんじゃう。

コン

足元に気をつけるんだぞ、アキ。

アキ

はーい。

コン

それにしてもあの二人、随分山道を歩き慣れてるみたいだな。歩く速さが段違いだ。普通に歩いてるとどんどん距離を離されちまう。

アキ

急ごう、コン兄ちゃん。

コン

ああ。

シノ

ねえ、何をするつもりなの、フユ。

フユ

……。

シノ

フユ!

フユ

なんてことはないさ。俺は俺の当初の目的を果たそうとしているだけだ。
そのためにまずは、アキとその兄貴を消す。

シノ

そんな……!
アキさんは今日一日、私たちにあんなによくしてくれたのよ?
それなのに……、

フユ

あの晩、親父と俺たちが喰ったのは、間違いなくアキの父親と母親だ。思い出したよ。血に染まったほっかむりの母親の背後で、身を寄せ合ってがたがたと震えていた人間の兄妹。俺たちは六年前に既に出会っていたんだ。最悪の形でな。

シノ

ああ、どうしてこんなことに……。

フユ

そもそも一瞬でも人間に隙を見せた俺が甘かったんだ。アキがあんまりにも親しげに声をかけてくるもんだから、つい気が緩んじまった。
おそらくあの兄妹は今でもオオカミを憎んでいることだろう。アキがあの歳にして既に猟銃を持ち歩いているのも、オオカミへの復讐心故と考えれば納得がいく。
だが幸い、あいつらは今、俺たちへの警戒心を解いている。この隙に、奴らを人里から引き離して、そこをひと思いにやっちまうんだ。武器を持っている奴は、先に殺してしまうんだよ。
あとは祭りで浮き足立っている人間たちの中に飛び込んで行って、片っ端から片付けちまえばそれでいい。そうして俺たちの目的は完遂される。

シノ

ねえ、もうこんなことやめようよ……。

フユ

なんだよ姉ちゃん、人間に情でもわいちまったのか?

シノ

違う、そうじゃない……!
お姉ちゃんだって人間は好きじゃないよ。だって人間は父さんと、私たちの大事な仲間を奪ったんだもの。
でも、こんなことに一体なんの意味があるの?
アキさんとお兄さまだってそう、私たちと同じだわ。
大切な家族を私たちに奪われて、憎しみが生まれて当然じゃない。
それに復讐っていうのなら、私たちの復讐はもうとっくに終わっているはずでしょう?
あの子たちが一体、私たちに何をしたっていうの?

フユ

シノ姉ちゃん。それでも俺は、行き場のないこの思いをどこかにぶつけなくちゃ気が済まないんだ。もう自分でも、この衝動を止めるすべがわからない……。
どうしようもなく憎いんだよ、人間が。

シノ

フユ……。

フユ

姉ちゃんがやりたくないっていうんなら、それは姉ちゃんの自由だ。俺に止める権利はない。だけど俺は一人でも、人間に復讐をするよ。

アキ

シノー!フユー!待ってよー!

フユ

(ため息)ここで少し待とう。——人間は足が遅いな。

シノ

……。

アキ

もう、二人とも速いよお。

コン

随分と山道を歩き慣れてらっしゃるんですね。
山にはよく入られるんですか?

シノ

え、ええ、まあ……きゃっ!

フユ

(同時に)姉ちゃん!

アキ

(同時に)シノ!

コン

危ない!

シノ

あ……、

コン

大丈夫ですか?

シノ

は、はい、すみません。この体にはどうも慣れなくて——、

フユ

(シノをひと睨み)

シノ

——あ……いえ、なんでもありません。

コン

雨で道がぬかるんできています、足元にお気をつけて。
ここから先は少し、ゆっくり行きましょう。

シノ

はい……。

フユ

……ふん。

アキ

あ、フユ、もしかして嫉妬ぉ?

フユ

うるさい。

アキ

むう、かわいくなーい!

◆四人、しばらく無言で道を行く。次第にコンとアキの顔色が曇ってくる。
 天気もどんどん悪くなり、嵐のようになってくる。

コン

……。

アキ

……ね、ねえ。まだ奥に行くの?

フユ

もうすぐだよ。——ほら、着いた。

アキ

……!!

コン

ここ、は……。

フユ

〝とっておきの場所〟——そう言っただろう?

アキ

どういう、こと……。

フユ

つまり、こういうことさ。六年前、奇遇にも同じ場所で死んだ、お前たちの父親と俺たちの親父の、ここが墓場だ!

◆雷鳴と銃声が同時に響き渡る。

四人

!!!!

狩人

だめじゃないか、きみ。
役者が全員揃うまで、舞台の幕はちゃんと締めきっておかないと。

コン

あなたは、さっきの……。

フユ

……!!

アキ

誰なの?コン兄ちゃん!

シノ

フユ……?

狩人

僕はか弱い赤ずきんの味方、悪いオオカミの敵。
そう、僕は狩人だよ。

フユ

……そうだ。お前は、六年前のあの時の……!

狩人

思い出してくれたかな?

フユ

……ッ殺す!

シノ

だめよ、フユ!

アキ

オオカミになった!?

コン

なんてことだ……!まだ生き残りがいたのか。

狩人

おっと。危ないなあ。そんなことされると、僕ちょっと困っちゃうよ。

フユ

どうしてあんたがここにいる……!
あんたは六年前に既に死んでいるはずだ、親父と相打ちになって!
あんたは一体何者だ?

狩人

言っただろう?僕は、狩人だよ。
もう少し正確にいうのであれば、狩人という役割を与えられた亡霊。
そう、僕は運命の狩人なんだ。

フユ

何の話だ!

狩人

そう、きみはあの夜、見つけてしまったんだよね。黄昏の薄暗闇の中、対峙する僕と、きみのお父さんの姿を。

フユ

……やめろ。

狩人

あんなに立派なオオカミと出会ったのは僕もはじめてだったからねえ。胸が躍ったよ。僕の仕掛けた罠にかかってなお、彼はわずかたりとも闘争心を失っていなかった。疵ついた足を引きずり引きずり、双眸そうぼうを爛々と輝かせ、僕に牙を剥いたんだ。
とても美しいケモノだと思ったよ。とても美しくて、恐ろしくて、そして何としても僕の手で仕留めてやりたいと。

フユ

やめろ。それ以上もう何も喋るな。

狩人

僕は彼という獲物をじっくり吟味してやろうと思った。そうすることが、彼に対する最大にして最上の敬意だと思ったのさ。
手はじめに、僕はまず彼の疵ついた後足を撃ち抜いて、彼の動きを封じた。次に右肩。次に左。ちょうどその頃合いで、銃声を聞きつけてやってきた一頭の子オオカミの気配にも、僕はすぐに気がついた。だけども僕は、素知らぬふりを決め込んだんだ。彼ほどの獲物を前にしてほかに気をやることは失礼に値すると思ったし、きみは僕の銃に怯えて、それ以上近づいてくる様子はなかったからね。おかげで僕は彼ひとりに、意識を集中させることができた。

低く唸る彼に、僕はゆっくりと近づいた。苦悶の中にあってなお、彼の双眸の輝きは一層鋭さを増し、真っ直ぐに僕を射抜いていた。
すっごく背筋がぞくぞくしたなあ、あの感覚、今でもありありと思い出せるよ。
仕上げに脳天をぶち抜いてやろうと、僕は彼の額に照準を定めた。
引き金に手をかけたまさにその時だったよ、彼の強靭でしなやかな四肢の筋肉が、最後の力を絞りきって奇跡的な跳躍を見せたのは。きっと残っている子供たちだけでも、僕の手から守ろうと思ったんだね。
彼は素早く僕ののど笛にかぶりつき、決して離そうとしなかった。だが、僕も負けてはいなかった。彼の心臓に照準を定め直し、ひと思いにぶち抜いたのさ。
彼は即死だった。もう手遅れだとわかっていながらも、僕は僕の首筋に食い込む彼の牙を両手でこじ開けようとした。死してなお、彼は僕の急所を捕らえて、ぴくりとも動かすことは叶わなかったよ。
僕は笑い出したいような気持ちになった。こんなに美しいケモノと真っ向から命をぶつけ合って死ねるのなら、本望だと思ったんだ。

ねえ、きみは覚えている?もつれ合って横たわる僕と彼を暗がりから呆然と見つめるきみに、僕は事切れる直前、ほほ笑みかけたよね。
あの時さ、僕は走馬灯のように、今日この日、運命の日のことを、瞼の裏に垣間見ていたんだ。そう、僕にはあの日から、未来のことが手に取るように見えていた。
こうして僕は亡霊となった。僕はきみたちを、運命という名の呪いの中に閉じ込めたんだよ。

フユ

黙れ!!!

狩人

怒れるケモノもまた美しい。だが、おとなしくしていてくれないと……、

フユ

!!

◆銃声。フユ、跳び退く。

狩人

こういうことになるよ?

フユ

っく!

コン

(はっとして)ってことはシノさん、あなたも……。

シノ

……はい。私もオオカミです。
あの晩、父とフユと一緒に、あなたたち家族の家を襲いました。

アキ

……っ!!

◆アキ、やにわにフユに猟銃を突きつける。

フユ

!!

シノ

フユ!

アキ

動かないで!動いたら……こいつを撃つわ。

狩人

ヒュウッ(口笛)これは勇ましいお嬢さんだ。実に素敵だね。あの晩のことを思い出すよ。ちょうどきみの今いる辺りに僕が立っていて、彼が——、

アキ

黙りなさい。あんたみたいな悪趣味と、あたしを一緒にしないで。

狩人

おっと、すまない。今宵の素晴らしい復讐劇に、外野が口を挟むのは無粋というものだったね。

アキ

……!!(狩人を睨みつける)
(フユに)……あたしを騙していたの?
あの晩、部屋の隅で震えていた子供だと知って、あたしに近づいたの?
これがあんたたちの復讐だっていうの!?

フユ

知らなかったさ!俺も姉ちゃんもお前たちも、あの日はまだ幼くて、風貌も何もかもすっかり変わっちまってたからな。
だがそう言ったところでお前は信じるのか?
お前の憎むオオカミの言うことを?

アキ

いいえ信じないわ!
オオカミ少年の言うことなんて信じられるわけがないじゃない。
そうね、ごめんなさい、愚かな問いかけをしたわ。
人を喰らうためならお前たちは何だってするんだものね!
このケダモノ!!!

フユ

人を喰らうためじゃない。
これは親父や死んだ仲間たちへの弔い、そう、復讐だ!
——アキ!

アキ

!!

フユ

お前だって俺たちが憎いんだろう!復讐がしたいんだな?
その銃だってだから持っているんだろう?
俺にはわかるんだ、俺とお前は同じだからな!
そうなんだろう?

アキ

違う!あたしが銃を取ったのは、村を守りたかったからで、復讐のためなんかじゃない!復讐のためなんかじゃ……!……っ、なんで……、

フユ

……?

アキ

どうして……あたしたちの父さんと母さんを殺したのがあんたたちなの……?

フユ

……!

◆沈黙。雨の音。

アキ

……行って。

フユ

あ?

アキ

行って!早く!そしてもう二度とあたしたちの前に姿を現さないで。

フユ

……!!
(長い沈黙)──わかった。行こう、シノ姉ちゃん。

シノ

え、ええ。

アキ

さよなら──フユ。

フユ

ああ──アキ。

◆銃声。

フユ

──ア……キッ……、てめえ……ッ!(事切れる)

アキ

悪く思わないでちょうだい。これが村のみんなのためなのよ。

狩人

──ックク、……ははは……ははははは!!!(拍手)いいねえ、いいよ。
そうこなくっちゃあ、面白くない。

アキ

村はあたしが守るの。あたしが、絶対守っ……ぐゥ!?

◆オオカミと化したシノ、アキののど笛にかぶりついている。

コン

──アキ?

アキ

シ……ノ……。

シノ

よくも……よくもフユを……!
許さない許さない許さない……、(次第に力を込めていく)

アキ

ッア、……!

コン

──後生、ですから……、

シノ

許さないッ……!!

アキ

あぐゥ……ッ、

コン

やめて……、やめて下さい、シノさん……。

シノ

殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやるゥ!!!

アキ

が、はッ……!(事切れる)

シノ

喰ってやる……喰い尽くして、しゃぶり出してやる、骨の髄まで!
お前は私の最後の家族を奪った……お前は私の最後の家族を奪った!!!終わりだ、何もかも……私は一人だ、私は一人だ、私は一人だァ!!!!

コン

シノさん!!!

シノ

!!!

コン

父さんと、母さんは……あなたたち家族に、喰い殺されました。
だから骨も、残ってはいないんです。
だから、お願いですから……アキは——アキだけは、どうか、村へ返してやって下さいませんか。俺ならいくらでも、喰い尽くして、しゃぶり出して、構いませんから……。

シノ

……!!

◆いつの間にか狩人の姿は消えている。しばし沈黙。
 シノ、アキの亡骸をどさりと取り落とし、やがてふらふらと、森林の中に姿を消す。
 コン、アキの元に駆け寄る。

コン

……っ!!アキ──アキ……?
──くっ……ふ……(アキの亡骸を抱き締め、静かに涙をこぼす)
さあ、帰ろう、アキ。俺たちの、家へ……。

***

狩人

この物語はこれでおしまい。
徒花は決して実を結ばない。その根を醜く腐食させ、周囲の土を毒で冒し、ただただ失っていくばかりだ。ぐずぐずと、儚く美しくその花弁を散らして。
お使いを果たせたのは小さくて勇敢な赤ずきん。
お父さんとお母さんの待つそらに、無事に辿り着けましたとさ。

THE END.